山本町で始めた「お惣菜shiro」。自分でつくる仕事と暮らし_白川朋果さん(30代)

更新日:2026年10月16日

三豊市山本町河内で生まれ育った白川朋果さん。現在は、自宅の庭に建てた厨房で、予約制のお弁当屋「お惣菜shiro」を営んでいます。
子どもの頃からお菓子づくりが好きで、観音寺総合高等学校(当時、観音寺中央高等学校)の食物科を卒業、京都の専門学校へ進み、和菓子を学びました。専門学校卒業後は県外の和菓子工場で約2年間働き、三豊市にUターン。三豊市に戻ってからは病院の給食調理に約8年間携わりました。
子育てをしながら働く中で、自分で仕事をすることを考えるようになり、廃校となった山本町の河内小学校を使ってお弁当屋をスタート。現在は自宅に拠点を移し、予約や配達を中心に営業しています。
地元でお弁当屋を始めた経緯や、現在の仕事で大切にしていることについて、白川さんにお話を伺いました。

EPISODE.01料理の仕事を続けるために、自分で仕事をつくる

食に関わる仕事を続けてきた白川さん。県外での仕事を経て三豊市に戻ってからは、病院の給食調理に約8年間携わりました。その間に2人の子どもを出産し、育児休業を挟みながら仕事を続けていました。
病院では、普通食だけでなく、柔らかい食事や刻み食、ペースト食、減塩食など、患者に合わせた食事をつくっていました。
2人目の子どもが保育園に入った頃、これからの働き方について考えるようになりました。
食に関わる仕事を探す中で、自分で仕事をすることも選択肢の一つとして考え始めます。
「自分で仕事をするなら、カフェとかレストランとかいろいろある中で、自分にもできそうだったのがお弁当だったんです。」

お弁当屋を始めようと決めたのは30歳頃。そこから約1年間準備を進め、コロナ禍の時期に開業へ向けて動き始めました。

EPISODE.02 母校の給食室から始まった「お惣菜shiro」

最初の店舗に選んだのは、白川さん自身が卒業した河内小学校でした。廃校となった小学校の給食室を借りることができ、そこにはコンロやオーブン、冷蔵庫など、給食をつくっていた設備が残っていました。
新しく厨房を用意するのではなく、もともと給食室にあった設備を使ってお弁当屋を始めました。
「ここで借りれんかったら多分、弁当屋はやってなかったと思います。」と話す白川さん。

開業後は、Instagramでの発信に加え、山本町河内の地域にチラシを配布。地元で生まれ育ったこともあり、地域では家族とのつながりを通して白川さんのことを知っている人も多くいました。
また、河内小学校を会場にイベントを企画。まずは実際に学校まで来てもらい、場所を知ってもらうことにも取り組みました。
「1回来たらね、みんな2回目安心して1人でも来れるから。」
小学校という場所を使いながら、地域の人に店の存在を知ってもらいました。

EPISODE.03 小学校から自宅へ。営業スタイルも変化

河内小学校での営業を続ける中で、弁当の注文が増え、少しずつお店を知ってもらえるようになりました。カフェ営業や配達も行うようになり、営業の形も変化していきます。
一方で、小学校が使えなくなることが決まり、店舗を移すことになりました。そこで白川さんが選んだのは、自宅の庭でした。
移転を決めてから工務店に相談し、プレハブの厨房を建てました。約半年後の2026年3月末には、現在の厨房で営業を始めました。
現在は、以前のように店舗でお客さんを迎えるのではなく、予約を受けてお弁当をつくるスタイルが中心です。注文が入っている日は仕事をし、注文がなければ休む。自分で仕事の予定を決められる働き方になりました。
お弁当は10~20個程度の注文が多く、これまでには130個ほどをつくったこともあります。調理は基本的に白川さんが一人で行い、お義母さんが弁当詰めなどをお手伝いされています。メニューは基本となるものを用意しながら、魚への変更や子ども向けの内容、アレルギーへの対応など、注文に合わせて内容を変えることもあります。

自宅に厨房を移したことで、仕事と家庭との距離も近くなりました。子どもが休みの日でも、自宅の別室にいる子どもの様子を見ながら仕事ができます。
「自分で仕事をする」という働き方を選んだ白川さんにとって、現在の厨房は、仕事と子育ての両方を続けていく場所になっています。

EPISODE.04 「普通のお弁当」をつくる

白川さんが「お惣菜shiro」で大切にしているのは、手づくりで、気軽に買える「普通のお弁当」です。
「手軽でリーズナブルで手作りでっていうところが一番こだわってます。」
目指しているのは、カフェのようなおしゃれなお弁当と、コンビニやチェーン店のお弁当の間にあるようなお弁当です。見た目の華やかさや食材へのこだわりを追いすぎず、手頃な価格で、幅広い人が買いやすいことを大切にしています。
価格を抑えるため、農家から仕入れた規格外の野菜なども取り入れています。
小学校時代に出していたメニューも、現在のお弁当に残っています。その一つが、きな粉揚げパン。学校を離れた現在も、注文があればつくっています。
人気のメニューには「給食風レモン唐揚げ弁当」などもあります。
開業時には、白川さん自身が地域のお店を訪ね、食材の仕入れについて相談しました。現在も、地域とのつながりを大切にしながら、お店を営んでいます。

EPISODE.05 地元で続ける仕事と、これから

自営業になってから、白川さん自身にも変化がありました。
「前より自分を売るようになりました。」
以前は、仕事の中で「こうしたらいいのに」と思うことがあっても、自分で決めて実行する立場ではありませんでした。今は、自分で考えたことを自分で決めて、実際に動かしていきます。仕事の進め方も、自分で考えながら決められるようになりました。

「お惣菜shiro」には、これまで中学生や高校生の常連客もいました。高校卒業後に県外へ進学した人が、帰省するたびに家族分のお弁当を注文したり、部活動帰りに遠方から買いに来たりすることもあったそうです。
白川さん自身も山本町で生まれ育ち、現在は2人の子どもを育てています。子どもたちの学校行事では、かつての同級生と顔を合わせることもあります。県外で働いた経験を経て地元に戻り、仕事だけでなく、子どもたちの学校を通しても地域とのつながりがあります。
そんな現在の仕事について、これからは土日に集中しやすい注文を平日にも増やし、法事のお弁当にも力を入れていきたいと話します。
山本町で生まれ育ち、県外で働いた経験を経て、再び地元で仕事を始めた白川さん。今は自宅の厨房でお弁当をつくりながら、子どもたちの成長も見守っています。
【取材後記】

今回の取材では、白川さんが地元に戻り、食に関わる仕事を続けながら、自分でお弁当屋を始めるまでの経緯を伺いました。廃校となった小学校で開業し、現在は自宅の庭に厨房を構えて営業するなど、働き方を少しづつ形にしてきたことが印象に残りました。地元で暮らしながら、自分で仕事を作っていく白川さんの歩みを知ることができました。

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